2016年3月1日から3日までの3日間、北海道赤井川村にあるキロロリゾートとその周辺施設で、「Hokkaido Snow Travel Expo 2016 in KIRORO」が開催された。海外の旅行会社やメディア関係者を招き、世界屈指の雪質のよさを誇る北海道でのスノーリゾートを体感してもらい、今後の誘客に結び付けることが目的のイベントだ。
主催は、北海道内13箇所のスノーリゾートと関係する行政機関など。年1回北海道内のスキーリゾートで開催され、今年が5回目。今回は、アジア諸国や豪州、欧米など、18の国・地域から49名もの方々が訪れ、パウダースノーを体感してもらいつつ、関係機関をはじめ地域住民との交流を深めていった。

撮影・文/川島信広

キロロリゾートとは

キロロリゾートは、新千歳空港から車で約2時間、札幌市内からは1時間、小樽市内からは40分程度の位置にある、比較的アクセスがよい本格的なスノーリゾート。北海道でトップクラスの雪質を楽しめる「キロロスノーワールド」を中心に、2015年から展開し始めた宿泊施設「キロロ トリビュート ポートフォリオ ホテル北海道」と「シェラトン北海道キロロリゾート」などがある。

まずはコミュニケーション

午前10時。最初に、今回のイベントの概要説明などがあったのち、挨拶とコミュニケーションを図る「チームビルディング」を実施。招かれた海外からの49名のほか、招いた北海道側のメンバーを含めると100名あまり。お互いにはじめましての方々ばかりなので、まずは堅苦しいことは抜きにして、楽しむことから。

「チームビルディング」とは、チーム対抗のゲーム大会のこと。当初予定では、屋外で雪上綱引きなどをする予定だったが、この日の午前中は天気が大荒れで、近隣の国道が吹雪のため通行止めになるほど。もちろんゲレンデのリフトもストップ。急遽屋内での開催に変更された。1チーム9~10名、地域ごとに10チームに分かれ、各自チームごとの色のハチマキをつけて対戦。大きく3つの種目でチームの点数を競い、上位チームには開催地である赤井川村の特産品などのプレゼントをゲットできる。

フラフープを使い、輪になったチームメンバーの身体を通していく競争や、全身でグー・チョキ・パーを表現してじゃんけんをするゲームなど、身体を張ったゲームが続く。

性別はおろか地域も国籍も関係なく近くにいる人の手や肩をつかみ、招かれた人も招いた人も入り混じり、いつしか会場内が笑いと熱気に包まれていった。最後は全員で肩もみをして、「おつかれさま~!」

ひと息ついて、ホテルスタッフによるグリーティング

大いに盛り上がったチームビルディングの後は昼食をはさみ、キロロリゾートのホテルスタッフによるグリーティング。13時すぎから「シェラトン北海道キロロリゾート」にて、ホテルスタッフが先導して客室などを巡った。

客室の広さや使い勝手を真剣に質問する方、畳の部屋を見て喜ぶ欧米の方など反応はさまざま。お国柄だろうか。

北海道のパウダースノーを体験!というか吹雪を体験!?

ホテル内での見学が終わると、いよいよ今回のイベントでのメインコンテンツの1つがスタート。北海道各地のスノーリゾートのインストラクターや留学生インストラクターによる、スキー・スノーボード体験だ。

激しかった風雪は多少和らいだものの、まだまだ風があり、粉雪が舞い真っ白になる状況。決してよいコンディションではないが、かろうじてファミリーゲレンデのリフトのみ運行再開しており、軽く滑ることは可能になった。

参加者の多くはスキーやスノーボードを経験したことがない方が多く、ゲレンデに立つ以前にスキー板を履くことはおろか、靴を履くだけでも大事件!「こうやってとめるんですよ」と手を添え丁寧に説明しているインストラクターの姿が各所でちらほらと。ちなみに、もちろん日本語ではなくすべて英語でのレクチャーだ。

スキーチームは、まずは足をあげてみることから。初心者にとってはこれでも大変。

スノーボードチームも、まずは基本動作の確認から。慣れないボードでの動きにバランスを崩してしまうことも多々。

基本レクチャーが終わると、いよいよゲレンデデビュー!リフトに乗りゲレンデの上へ。

インストラクターが先導し、ゆっくりと滑り降りてみる。ゆるやかなファミリーゲレンデだからか、皆さん意外と転ばずにスムーズに滑ってくる様子。手を挙げてカメラに応える余裕がある方も。

とはいえ、雪質を楽しんでもらうというよりも、まずは滑ってみることに神経を集中していた模様。幸か不幸か悪天候だったので、否が応でも粉雪が舞い散る天候。全身に吹き付ける雪も、パッパと払えばすぐに落ちるので、無意識のうちにパウダースノーを体感できたのでは…!? 海外からいらした皆さん、北海道の雪質のよさは体感して頂けたであろうか?
2時間少々のスキー・スノーボード体験を終えると、身支度を整え次の会場となる「キロロ トリビュート ポートフォリオ ホテル北海道」へ移った。ここは大自然の中に作られた広大なスノーリゾート、キロロリゾート内ではあるが距離があるため、バスでの移動だ。

北海道のスノーリゾートについて知る

19:00からは、「キロロ トリビュート ポートフォリオ ホテル北海道」にて、北海道のスノーリゾートに関する基調講演が行われた。会場には、今まで参加していた海外からの招待客と北海道のスノーリゾート関係者のほか、北海道内を中心とした宿泊施設の関係者や旅行会社なども加わり、一気に参加者が150名あまりに。

基調講演は2名が担当。最初は、キロロリゾートのホテル運営を手掛ける、スターウッドホテル&リゾート 日本・韓国・グアム地区統括セールスオーガニゼーション 本部長の矢島隆彦氏。スターウッドホテル&リゾートが北海道内で展開を始めた3つの施設についての紹介とともに、北海道のスノーリゾートとキロロの地域性が世界各地と比較しても優位性があり各国から注目もされている、ということを流暢な英語でスピーチ。

次の講演者は、株式会社パウダーカンパニーの代表で、プロスノーボーダーでありガイドの高久智基氏。世界各地のスキーリゾートと比較して、北海道は標高が低く生活圏に近い場所で上質な雪を楽しめるという、稀に見る好条件で魅力的な土地であることを訴えた。

北海道の食材と日本文化を堪能!

基調講演の後は、ホテルの大ホールでのウエルカムパーティー。招待者を招き入れ、乾杯の挨拶があると、国籍や役職を問わずみな笑顔でグラスを交わした。

北海道産牛モモ肉の香味ロースト、サーモンのスモーク、刺身や寿司、北海道日高産栗蟹の味噌仕立てなど、北海道の素材を使った料理が並んだ。

ひときわ目立ったのは、山のように盛られたズワイガニのボイル。カニを見慣れた北海道民でさえ、これだけ山盛りになったカニを見ることはそうそうなく、皆さんちょっとビックリ。

ドリンクも北海道限定のサッポロクラシックや、小樽や余市、洞爺など近隣のワイナリーが醸造したワインが多数登場。思わず飲み比べをしたくなる!

ソムリエがワインの産地についてなど説明をすると、どんどんボトルが空いていき、パーティーの後半には品切れの品種が続出!北海道のスノーリゾートとともに、近年産地として注目されている北海道産ワインについても大いにPRする場になったようだ。

食が進んできたところで、いくつかアトラクションも行われ、カメラや写メの放列が続いた。

2017年に開催される冬季アジア札幌大会に関する紹介では、ビデオ上映とともにゆるキャラの「えぞもん」が登場。えぞモモンガをモチーフにし、得意技はウィンタースポーツなのだとか。

海外からの方々にとって珍しい、日本文化のアトラクションも登場。こちらは地元赤井川に伝わる赤井川カルデラ太鼓。間近で見ていると身体が震える!迫力満点だ。

次に登場したのは、書家石野華鳳氏による書道パフォーマンス。カルデラ太鼓の演奏にあわせ、ステージ上で巨大な筆を走らせた。

最後は、午前中に開催されたチームビルディングの表彰式。3位から順番に1位までチーム名が呼ばれ、会場内では各所で歓声が上がった。3位には赤井川ナガヌマファームお菓子セット、2位には赤井川村産トマトジュース、1位には赤井川産どぶろくが、1人1品ずつ贈られた。

アトラクションや表彰が終わると閉会。北海道では、パーティーの閉会は一本締めでも三本締めでもなく、「かんぱい!」で締めるのがお約束。北海道以外の方には奇異に映るかもしれないが、これが北海道のローカルルール。

乾杯で締めた後、出口では招待客に対してお土産にサッポロクラシックなどを手渡された。パーティーが終わった後でも名残惜しいのか、多くの人が会場や廊下にとどまっていた。みなさん夜は長そうであった。

北海道と海外のマッチング

盛り上がった夜の記憶も冷めやらぬ中、翌日を迎えた。今回のイベントで一番大事なのがこの日。北海道側と海外からの招待客との間での商談会だ。

北海道側からは、各地のスノーリゾートや宿泊施設をはじめ、関係自治体や観光協会、旅行会社や運輸会社など約40の組織が参加。朝9時から昼食時間を挟み午後15時近くまで、1回15分で11回もの商談会が行われた。

ここへ参加する組織の狙いはさまざま。海外の事業者と直接交渉できる貴重な機会と捉えている組織もあれば、海外のマーケットやニーズを知る場と捉えている組織も。いずれにしても、長い時間さまざまな国・地域の方々と話をすることで有意義な場であったようだ。

地元の人たちとのふれあい

仕事の話をした後は、地元の人たちとのコミュニケーションでリラックス。夕方になるとキロロリゾートからバスで20分ほどの、赤井川村立都小学校の体育館へ。小学生が手作りの折鶴の首飾りで出迎えてくれた。

地元農家さんの自家用のもち米を使った餅つきが開催され、きなこ餅などがふるまわれた。

その後は、村の方々が教えるリース作りや根付け作り、習字の体験などに皆さん夢中!村の方々も海外からの招待客も笑顔が溢れる、とても賑やかな場になった。

茶道や三味線演奏もあり、こちらも注目の的。

最後は、赤井川のゆるキャラ「あかりん」とともに記念写真をパシャリ!きっと、よき日本の想い出になったのでは!?

体育館を後にし、車で2、3分の「道の駅あかいがわ」へ。

この日の夕食はここで、地元の方々が作るローカルフードのおもてなしだ。

越冬じゃがいものフライ、雪の下キャベツなど野菜のスープ、ごぼうと人参の肉巻きなど、地元の産物を使った手作り感ある料理が並んだ。会場内には桜の花や雛壇なども設けられ、日本文化を楽しんでもらう演出も。

心温まるおもてなしを受けたのち、バスでキロロリゾートへ戻り、濃密な2日目を終えた。

最終日は地域視察ツアー

最終日は朝から夕方まで、4つのグループに分かれ、札幌、ニセコ、小樽・余市、キロロ・余市への地域視察ツアーだ。 札幌コースは、初めて北海道へ訪れた人向けの内容。「サッポロテイネスキー場」と、スキージャンプ台がある「大倉山ウインタースポ-ツミュージアム」、「白い恋人パーク」の視察などだ。ニセココースでは、欧米の富裕層向けの施設を巡る内容。ニセコマウンテンリゾート グラン・ヒラフ」でのスキー体験のほか、地元蔵元の「二世古酒造」や高級宿泊施設の視察を行った。小樽・余市コースは、キロロリゾート近隣の観光地巡りをテーマにした内容。連続テレビドラマで一気に有名になった余市の「ニッカウヰスキー蒸留所」をはじめ、小樽運河の散策や、小樽とキロロリゾートの間にあるワイナリー「北海道ワイン」への訪問などを通じ、近隣の観光資源をPRする場となった。キロロ・余市コースでは、ファミリー向けの内容。キロロリゾート内のスノーパークでのアクティビティ体験にはじまり、余市にあるワイナリー「オチガビワイナリー」や「ニッカウヰスキー蒸留所」で食事や買い物を楽しんだ。キロロリゾートをはじめ近隣には魅力的なところが多く、何日滞在していても飽きることはないのでは、と感じるほど。招待者もきっとそう感じていたに違いない。

フィナーレは花火!

ツアーから戻り、今回のイベントで最後の行事となるフェアフルパーティー。「キロロ トリビュート ポートフォリオ ホテル北海道」の2階にある「レストラン アッラモーダ」にて開催された。

イタリアンの立食パーティーで、カジュアルなスタイル。

ただ、お店はテラスがあるうえ、シェフが目の前でふるまう生ハムやパスタ、ピザなどが並び、ちょっとワンランク上の雰囲気。リラックスしながら最後の夜の宴を、思い出に浸るかのように過ごす場だった。

最後、屋外に出て夜空を見上げると…!フィナーレを花火が彩り、「Hokkaido Snow Travel Expo 2016 in KIRORO」は閉幕した。

昨年サホロリゾートで開催した、第4回「Hokkaido Snow Travel Expo」による成果は、送客数約8000名、旅行取扱額約12億円だったという。海外から招かれた皆さんの笑顔と笑い声が絶えなかった3日間。昨年同様、いやそれ以上によい結果になるのではと感じるイベントだった。北海道のゲレンデが、今まで以上に海外からの人たちで賑わう日も遠くないに違いない。

HOKKAIDO SNOW TRAVEL EXPO

北海道スキープロモーション協議会が主催する招致イベント。北海道スキープロモーション協議会は、参画する団体が協働し、スキーをはじめとするウィンタースポーツやスノーアクティビティを通じて外国人観光客の誘致推進に取り組み、地域の国際観光の振興に寄与することを目的としています。
http://www.skiing-hokkaido.com/ja/