群馬県沼田市にある老神温泉では、毎年5月の第2金曜と土曜の2日間わたって「大蛇まつり」という祭礼が行なわれる。
この祭りは、大蛇の神輿を担いで温泉街を練り歩くというもの。
古くから地域に伝わる祭りにはそれぞれに由来があるが、ちょっと変わったこの祭りはどのように生まれ、どのように行なわれているのだろう。

老神温泉があるのは、沼田と尾瀬日光をつなぐ国道120号線を進み、途中で山道に入った片品川沿いの山間部。

森に包まれた渓流の傾斜に、十数軒の旅館やホテルが並ぶ温泉街が広がっている。温泉地は赤城山の北側の山麓にあたる。また、沼田市街地から上ってきた国道120号をそのまま直進すると、日光白根山の山裾を抜けて、男体山や中禅寺湖のある日光がある。老神温泉はそんな場所に位置している。

片品村や、玉原・川場エリアのスキー場の拠点にすることもできる温泉地だ。スキー場のすぐ麓ということはできないものの、それぞれの中間地点であり、このエリアのスキー場をいくつか巡るには適していると言える。

古い歴史をもつ老神温泉の由来と、地域に伝わる祭りの謎を紐解いていこう。

老神温泉に伝わる二神が戦った壮大な伝説

老神温泉に残る伝説によると、神代の昔、赤城山の神である大蛇が、日光の男体山の神である大ムカデと戦って弓矢の傷を負い、その矢を抜いて赤城山麓に突き刺したところに湯が沸きだしという。
それが老神温泉の湯が開かれる起源になったとされる。
湯で傷を癒やした蛇の神は、男体山の大ムカデの神を追い払うことができたことから、「追い神」が転じ、「老神」の由来になった。

隣県の栃木県の日光には「戦場ケ原」と呼ばれる広い湿原がある。日光の伝説では、そこが赤城山の神と男体山の神が戦った場所だとされている。こちらの伝説では、男体山の神が大蛇で、赤城山が大ムカデになっているなど内容に違いはあるが、二神の戦いの伝説はこの地方の広範囲に伝わっている。また、神が流した血で赤く染まった山は、「赤き山」が転じて赤城山になったなどの民話も残る。

老神温泉は、そんな壮大な伝説の舞台のひとつなのだ。

「大蛇まつり」はどんなもの?

老神温泉で行なわれる毎年恒例の「大蛇まつり」は湯を開いた神に感謝し、大蛇に祭るという神事。

ご神体として担がれる蛇の神輿は、若衆神輿が約30メートル、子供神輿が約20メートルもある。温泉街にある赤城神社を出た蛇の神輿は、店先や宿泊施設の敷地内で振る舞い酒やお菓子をいただきながら街中を練り歩く。
数十人がかりで担がれた蛇の神輿は生きているかのように身をくねらせ、店先や宿で振る舞いをいただくときはとぐろを巻いて休憩する。日中は子供神輿、日暮れから大人たちによる若衆神輿が街に繰り出し、威勢のよい掛け声が夜更けまで温泉街に響く。

12年に1度、巳年のときには全長108メートル、重さ約2トン、胴回り1.3メートルの巨大な大蛇神輿が登場する。200人以上の担ぎ手を必要とするこの特別な神輿は、2013年の巳年に「Longest festival snake(最も長い祭り用の蛇)」としてギネス世界記録に認定された。

観光も楽しい老神温泉。春には「びっくりひな飾り」も

「大蛇まつり」の蛇の神輿は、普段は温泉街に老神温泉赤城神社に祭られており、一般開放されている。
また、老神温泉では2月中旬~3月末に「老神温泉ひな祭り」が開催され、神社のすぐそばにある利根観光会館をメイン会場に、温泉街の各地でひな人形が飾られている。

利根観光会館には、県内外から集められた5000体を超えるひな人形が飾られ、特設会場に作られた15段のひな壇に並んだ「老神温泉びっくりひな飾り」は圧巻だ。
会場のあちこちには、地元の方が手作りした、かわいらしい「つるし雛」も飾られている。「老神温泉ひな祭り」開催期間中は、つるし雛や髪飾りなど、さまざまなものを手作りする体験教室も開催している。さまざまなイベントを体験しに、ぜひ老神温泉を訪れてみよう。
Photo & Text by Chiho Kuriyama

施設情報

老神温泉(沼田市利根観光会館)

所在地
〒378-0322 群馬県沼田市利根町老神
外部URL
http://www.oigami.net/
備考
蛇の神輿や、びっくり雛飾りは観光会館に展示

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