公益社団法人日本プロスキー教師協会による「SIAインタースキーデモが教えるSIAデモレッスン&メダルキャンプ」が、2019年2月23日(土)〜24日(日)に長野県菅平高原スキー場にて開催されました。当日はコーチとして、SIAデモンストレーター並びに2019年インタースキー日本代表デモンストレーターでもある佐々木常念デモ(戸隠フランススキー学校)と可児徹デモ(ISG SKI Academy SUGADAIRA)の2名、レッスンキャンプと検定受検者合わせて15名の参加者が集い、中身の濃い週末を過ごしました。
*インタースキーとは?:世界スキー指導者会議。4年に1度、国際スキー教師連盟に加盟する各国の代表デモンストレーターが集結し、指導法や滑走技術のトレンドについて相互に研鑽を図るスノースポーツ指導者の祭典。
*本年度は上級者が集まりましたが、通常は中級レベルの参加も可能です。

日本のトップデモンストレーターによるレッスンと、国内最高峰技術検定を同時開催!

今回のイベントでは、佐々木デモはレッスンキャンプを、可児デモはメダル検定を担当しました。レッスンキャンプのコースには日頃SIAの公認スキー学校でレベルアップに励む上級者10名が参加、またメダル検定のコースには5名が挑戦。なお、行われたメダル検定は「SIAスーパーゴールド」というもので、過去にわずか10名の合格者しか出ていない国内最高難易度を誇る検定のため、初日は事前講習が行われました。日本のトップデモに直接教えてもらえる貴重な機会とあって参加者の意気込みも十分。アイスバーンで難しい雪質でしたが、少しでもトップデモの技をモノにしようという熱意が充満していました。

ベースポジションの確認を重視した佐々木デモのレッスン

レッスンキャンプを担当した佐々木デモによると「今回参加くださった方々は、ゲレンデでは十分目立つくらいの上級者で大変上手でした。しかしターンポジションの曖昧さという点では皆さんに共通する欠点があったかと思います。具体的には、ターン中ほとんどの人が山側つまりターン内側に身体が入りすぎていて、外スキーへの荷重が十分にできていないところです」とのこと。レッスンでは、スキーの基本である外足への荷重を洗練させるエクササイズ、スピードや回転弧に合わせた効果的な身体の使い方がレクチャーされました。

アイスバーンでも、鮮やかに滑るデモレッスンキャンプの参加者たち

日頃から技術上達に余念がない参加者の皆さんは、さすがに上手です。菅平高原特有のアイスバーンでも、しっかりとエッジに乗ったシャープなターンを見せています。しかし、佐々木デモ曰く「フラットなバーンであれば、皆さん上手ですが、少し起伏があったり雪質変化が大きいところでは、スキーへの荷重が不安定になり、滑らかなターンが描けません」。また、用具の性能に頼ってしまうと、ただ遠心力で傾いているだけの滑りになったり、必要以上に低いポジションになったりと、いろいろな弊害が出てしまうのだそうです。

さまざまな斜面状況に対応できる腰高のポジションを確認

腰高というのは「高いポジション」のこと。脚の関節を必要以上に曲げず、斜面の起伏や変化に対応できる脚部の使い方が大切です。「ターン中、どんなに傾いても脚部を伸展させる動きで雪面を捉えれば、おのずと腰の高いポジションになります」。佐々木デモのアドバイスに参加者一同「なるほど!」と納得。上級スキーヤーであっても、課題は尽きないもの。でもそこがスキーの面白さであり、また奥深さなのかもしれませんね。

スーパーゴールド受検者とレッスンキャンプ参加者合同で、技術談義に花が咲いた夜の懇親会

思う存分滑ったあとは、宿舎となった「ホテルやまびこ」で懇親会。経験豊富な名インストラクターとレベルアップに燃えるスキーヤーが集まれば、おのずと熱のこもった技術談義になってしまいます。最初は静かだった参加者の皆さんも、お酒が入るにつれてだんだん饒舌に。

スーパーゴールドの検定種目は5種目。1種目でも落とすと合格できないという難しさ

可児徹デモの滑り。上から、パラレルターン・ショート、パラレルターン・ロング、総合滑降、ウェーデルン(不整地)、踏み替えターンの5種目
SIAスーパーゴールド検定は、過去にわずか10名の合格者しか出ていないという、まさに国内最高難度を誇る技術検定です。過去の合格者リストには、オーストリア国家検定教師を筆頭にSIA、SAJの指導資格保持者が名を連ねていますし、SIAゴールドホルダーやSAJクラウンプライズホルダーも多くが挑戦していますが、ここ数年は合格者が出ていません。

合格がこれほど難しい理由は、求められる滑走スキルが高いのは当然として、検定種目5種目のうち、1種目でも落とすと合格できないという点にあります。つまり、不得意種目を得意種目で補うといった作戦は通じないのです。どの種目もしっかりと滑ることができる真のオールラウンダーであり、どんな斜面状況にも対応できる懐の深いスキーヤーでなくては合格できません。それだけにスーパーゴールド合格は、技術志向のスキーヤーにとっては夢のような称号であり、挑戦者の意欲を掻き立てるのです。

今回は5名が挑戦。残念ながら合格者は出ませんでしたが(1名は、パラレルターン・ロングで種目別合格点をマーク)、挑戦者全員が、事前講習から検定本番にかけて、良い収穫を得ていたようで、次回へのモチベーションを高めていました。

なお、本イベント終了後、3月上旬に志賀高原で今シーズン2回目となるスーパーゴールド検定が開催され、1名が合格。通算で11人目となるスーパーゴールドホルダーが誕生しました!
スーパーゴールド検定のジャッジを務めた二人。左は可児徹デモ、右は宮崎哲イグザミナー
並の上級者とは一味違う、SIAスーパーゴールドのチャレンジャー。アイスバーンだろうとコブだろうと果敢に攻めるも、合格には一歩届かず……。

可児デモからの講評

「ロングターンは、全体的にスピード感が足りませんでした。多くの方がスキーのエッジを立てたまま次のターンに入ろうとしていて、切り換えでスキーをきちんとフラットにする動きがなかったように思います。ターンを切り換える操作の中では、スキーは必ず雪面に対してフラットになるはずですし、そのタイミングを作ることによって走りも生まれ、スピード次元も上がります。ショートターンはターンスペースの取り方がやや狭い方が目立ちました。短いエッジングでリズミカルに滑ろうという意識はわかりますが、ターン前半からしっかりとスキーをたわませることによって、なめらかなターン弧になりますし、ターンスペースも大きく取れるようになります。今回、受検された皆さんは非常に高いスキルをお持ちです。しかし、スーパーゴールド合格という基準にはあと一歩足りませんでした。ただし、ご自分のウィークポイントを把握して改善させれば、次回は必ず点数アップが果たせると思います。スーパーゴールドはとても難易度の高い検定ですから、ぜひ再チャレンジしていただきたいです!」

最後は参加者全員での集団滑走まで楽しんじゃいました!

キャンプスケジュール終了前、「全員でフォーメーション滑走をして締めましょう!」という佐々木、可児両デモの提案で、参加者全員での集団滑走が実現。

「トップスキーヤーのリズムに合わせて滑れるなんて!」

「まるでデモになった気分!」

全員が上達志向のスキーヤーといっても、楽しむときはしっかり弾けることを知っています。このときばかり型なんか気にせずに、とにかく二人のデモに食らいついていく勢いでした。

「いやあ、気持ち良かった!」

「検定でこの滑りができたら良かったのに!」

どうやら、トップデモが滑る後ろ姿には、スキーを上手くさせてしまう効果があるようです!

イベントに参加したスキーヤーに感想を聞いてみました

スーパーゴールド検定会参加者の声

石岡延弘さん(写真左)、山田洋さん(写真右)
「今回は1種目も合格できませんでしたが、スーパーゴールドは憧れの検定。それに挑戦できるだけでも嬉しかったです。講習とジャッジを担当してくれた可児デモは、欠点と改善策を見つけるのがさすがに巧みで恐れ入りました。アドバイスも技術だけでなく、用具の選び方にも触れてくれ、大変有意義な二日感になりました!」
(石岡さん/SIAゴールド)

「いやあ、スーパーゴールドは要求度が高いですね、当然ですが……。事前講習では、自分でも課題だと思っている箇所を一瞬で見抜かれてしまい驚きました。今回はパラレルターン・ロングだけ合格点をもらえましたが、悔しいというより、さあ次へという気持ちになりました。内スキーの使い方について新しいイメージを掴めたので、合格はできなかったけれどモチベーションは上がりましたよ!」
」(山田さん/SIAゴールド)

レッスンキャンプ参加者の声

藤井義照さん(写真左)、水田朝子さん(写真右)
「仲間うちで教える立場になることもあり、自分の引き出しを増やしたいなと思い、参加しました。佐々木デモはアドバイスが的確ですし、お手本の滑りがとてもわかりやすくて感動しました」(水田さん/SAJ指導員)

「佐々木デモのレッスンは、説明がわかりやすく、理論をまず頭で理解できるような展開をしてくれます。もちろん滑りも素晴らしいですし、さすがは長年トップデモとして活躍している方だなと思いました」(藤井さん/SAJテクニカルプライズ)

我こそはという上級者なら、スーパーゴールドにチャレンジしてみよう!

検定の意義は、合格することだけではありません。目標に向かって努力する中で、自然と実力が身に付きますし、合格できなかったとしても事前講習を通じて、得るものは少なくないはずです。「スーパーゴールド検定なんてとてもとても……」なんて言わずに、どんどんチャレンジしてみましょう。ちなみにスーパーゴールド受検には、資格などの条件はありませんから、滑りに自信がある方なら誰でも受検できますよ!
※事前講習の内容とレベルはやはり高く、目安としては、SIAゴールド、SAJテクニカルプライズもしくはクラウンプライズ以上となりそうです。

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