プロの先生達だからこそ可能になる密度の高いレッスン&検定

公益社団法人日本プロスキー教師協会(以下SIA)が、2018年3月9日~10日、長野県志賀高原の一ノ瀬スキー場で一般スキーヤーを対象としたレッスンキャンプや検定会を実施しました。もちろん通常のレッスンや検定は、各公認スキー学校でも随時受けられるのですが、今回行われたイベントにはいくつかの特徴があります。それは、SIAを代表するデモンストレーターとイグザミナーが講師を担当すること、そして国内最高難度を誇るスーパーゴールド検定が行われたことです。スーパーゴールド検定は、SIAが実施している「国際スキー技術検定」の最上位に位置するもので、現在までにわずか10人しか合格者が出ていません。今回は、このスーパーゴールド検定に6名、そのほかゴールド、セミゴールド検定には3名が挑戦、さらに個々の欠点矯正や目標達成に焦点を当てたデモレッスンには14人が参加し、春山の青空の下で楽しい時間を過ごしました。

*国際スキー技術検定については、本ページの最後でも紹介しています
今回のイベントで講師を務めてくれたSIAプロ教師のみなさん。左から、宮崎哲イグザミナー(シュナイダースキースクール校長)、佐伯知彦デモ(立山アドベンチャースノースクール校長)、川辺貴子デモ(石打プロスキースクール所属)、若森久明イグザミナー(高天ヶ原SKIWI SKI SCHOOL校長)。現役デモの二人に加え、宮崎さんと若森さんも過去に何度もデモンストレーター認定を受けている大ベテランです!

デモレッスン、検定講習とも、それぞれの欠点に合わせた緻密な講習が展開されていました

SIAには「SIAスキー&スノーボード公認メソッド」があり、これが指導教本のような役割を果たしていることは前回もお伝えしました。当然、実際のレッスン現場においても、このメソッドに書いてあること以外は教えてくれないのかと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。参加した一般スキーヤーの皆さんには、それぞれ欠点や悩みがあり、同じ欠点であっても、望ましい矯正法は人によって違うことがあるそうです。だからこそ、プロの先生たちは豊富な経験を生かして、「その人に一番マッチした練習方法やイメージの持ち方」を教えてくれるということのようです。前回、「メソッドは生き物のようなもので、用具や環境の変化に応じて細かい部分は常に進化しています」と久慈修技術委員長が話してくれましたが、現場の先生たちは、まさにこの言葉通りのレッスンを展開しているのだということを強く感じました。
たとえ同じ欠点(滑りのくせ)であっても、それを治すためのベストの練習方法は人によって違うかもしれません。体力や年齢、使っている用具の特性、スキー経験などを考慮しながら、受講者にもっとも適した道筋を示していく。これこそプロ教師の真骨頂!
右:ストックも、使い方の工夫によっては基本姿勢のチェックに役立ちます!
左:短いブラシポール(コースを規制するためのもの)を使用してのトレーニングも行いました!

人気プロ教師のレッスンは、上達をもたらしてくれるだけでなく、スキーの楽しさも再確認させてくれます!

スキーのレッスンというと、どんな光景を思い浮かべますか? 先生を前にみんなで並んで基本姿勢のチェックや、細かいバリエーショントレーニング? あるいは長いコースを先生の後ろについてトレーンで滑る? いろいろなスタイルがありますが、今回気付かされたのは、SIAの先生たちは、絶対に受講者を飽きさせないということ! 大切な基本姿勢や斜滑降など細かな練習ももちろんですが、美しい風景の中、ロングコースを一気にトレーンで滑ったり、自分の限界を少しだけ超えることにチャレンジさせてくれたりと、とにかく飽きさせないところは天下一品! いくら上手くなりたくても、ストイックになりすぎたら楽しくありません。「スキーはまず楽しく、そして安全に」をカタチにしたレッスンがここにありました。
ロングコースをトレーンで滑る川辺貴子デモの班。上手い人の後ろを追いかけて滑るのは、何にも勝るイメージトレーニングなのだといいます。
右:青空と樹氷の中をいく。スキーは大自然を相手にするスポーツだからこそ、風景を楽しみながら滑りたいもの。
左:コブ斜面での下半身の使い方を学びます。苦手な人に難しいチャレンジですが、これもまたよい経験!
右:なにしろ上手くなりたいスキーヤーどうし、初対面でも共通の話題で盛り上がってしまいます。
左:夜は、雪上で撮影したビデオを見てミーティング。

SIAの検定では、滑りのかたちではなく、運動の中身が重要!

今回のキャンプでは、スーパーゴールドとゴールド、セミゴールドの検定が行われました。さて、技術検定と言っても日本国内にはいくつかのものがありますが、SIAの国際スキー技術検定は、どんなところにあるのでしょうか? まず第一が「見た目のスタイルではなく、運動の内面を重視する」という点です。たとえターン中のフォームがかっこよくても、スキーの動きが悪かったりリズムに難があったりすると合格点は出ません。反対に多少フォームが悪くても、スキーの動きに無駄がなく、用具の性能を十分に使いリズミカルに滑れていれば合格するチャンスはあります。第二に「斜面状況にマッチしたスピードとリズム、操作で滑れているか?」。当然、ゴールドなどのレベルになればハイスピードでの滑走が求められますし、またそのときの雪質や斜度など、コース状況をしっかりと見極めた中で最大限の滑りをする必要があります。SIAが求める技術が「どんなところでも安全に確実に滑走できること」をテーマとしており、検定もこの流れにそったかたちで行われています。
ジャッジは、2名の検定員が行い、その合計点で判定します。
さらにSIAの検定では、1種目でも合格点に満たないと他の種目でいくら高得点を出しても不合格となってしまいます。かなり難しいルールですが、それだけスキーの総合的な能力を試されているとも言えます。なお、国際スキー技術検定は世界共通の基準(ISIAグローバルスタンダード)に基づいていて、これはSIAが国内唯一の「ISIA(国際スキー教師連盟)」加盟団体である点に関係しています。近年は日本のスキー場に海外からのスキーヤーが多く訪れていますが、子供に日本で国際スキー技術検定やジュニア国際スキー技術検定を受けさせる親御さんも増えているそうで、それは「学校受験時のレジュメ(経歴書)に書いてアピールできるから」なのだそうです。このことからも国際スキー技術検定がインターナショナルなものだということがわかりますね。
数少ないスーパーゴールドホルダーであり、今回デモレッスンに参加した園原信輝さん。
検定に関する詳細は、SIAのwebサイトで。  http://www.sia-japan.or.jp/medal_it

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