ゲレンデを気持ちよく滑るフリーライディングの注目&人気度が、ここ数年で急上昇中。そしてカービングターンに憧れる人も急増中。ということで独特のライディングスタイルと理論の持ち主で人気を集める「rama(ラマ)」こと平間和徳デモが、カービングターンはもちろん、すべてのターンが楽しくなるポイントを紹介!
写真&テキスト:渡辺智宏
取材協力:丸沼高原スキー場

モデル&解説/平間‘rama’和徳(ひらま・かずのり)

1977年生まれ。千葉県出身。高度なターンテクニックの持ち主でSAJ公認デモンストレーター。全日本技術選手権大会で2005年の初優勝に続き2010年にも優勝、さらに2013年、2014年には連覇を達成。現在、雑誌やDVDなどでも活躍し、フリーライディング基本技術のキャンプを全国各地で開催中。情報満載の公式ホームページ(http://rama-snow.com/)は要チェック!

【スポンサー】BC stream、X5、FLUX、SMITH、マツモトワックス、アプルラインド
JOINTHOUSE、カッパCLUB、YOKOHAMATIRE

カービングターンってなんだ!?

いかにも教科書的な説明をすると、スノーボードのターンはシンプルに分けると「スリップ」「スライド」「ホールド」の3つの要素があります。斜面の状況や滑りたい速度、回転弧の深さに合わせて、それぞれの要素を技術レベルに応じて組み合わせながら滑ります。

一般的にターンの習得はサイドスリップから入り、次第にスライドターンからホールド(カービング)のターンができるようになる順番。その組み立ては一般的なレッスンでも同じです。しかし、スライドからホールドの技術を覚えるのが中々難しいと思っている人が多いようです。その悩みを持つ人の理由はいろいろあると思いますが、基本的に操作に必要な「バランス」を正しく理解できていないからです。

カービングターンは特別ではない!?

「カービングターン」は難しいという考え方が多いためか、「高度なテクニック」、「究極的なターン」といったイメージが広がっています。雑誌などで紹介されるカービングターンの練習方法も「カタチ」を教えることがほとんど。しかし、「どうコントロールして、どんなターンをするか」が技術的な最終目標地点です。

そのため、カービングターンも板をコントロールした状態のひとつのターンに過ぎません。スライドは板がズレているから、技術的に劣っているわけではありません。自分が思うようにコントロールしてズラしているのであれば問題ないのです。


■自分の思い通りにコントロールすることが重要
“カービングターンができるから上手い”ではなく、どんな斜面でも自分の思い通りに滑れることがスノーボーダーとして最高に気持ちの良いことです。

ショートターンもロングターンと仕組みは同じ!

そもそも、スノーボードはターン中に1本のエッジを2本の足で操作し、ターンをするための運動は昔からあまり変わっていません。重心の位置に対する板の傾きや動きといった「バランス」関係をきちんと理解していれば、ズラすこともカービングも、板を思い通りにコントロールすることができます。

もっとシンプルに考えましょう。例えば、板をもっと立てたいと思ったら、重心の位置を板が立つ位置にもっていくのです。ターン弧を大きく小さく、ということも適切な位置に重心を移動するのです。そういった技術的なベースができると、ロングターンもショートターンも重心の位置や重心の移動距離に違いはあっても運動の仕組みが同じことに気づきます。

カービングターンのカッコよさとは!?

カービングターンがカッコいいのはターンのスピード感や見た目です。カービングができる位置に重心があり全体のバランスが取れ、完成したフォームの美しさです。ただ、この時のフォームや形を真似して覚えることは、おすすめしません。手はこう、目線はこう、と細かいところが気になるでしょう。

しかし、滑っている状況や条件も違えば、男性と女性、また体力や筋力、能力、経験などの違いから、すべて同じカタチにははまらないのです。手の位置が違っていたとしても、自分がバランスの取れる位置であれば、それが正解。

■カタチだけの真似はしない!
カタチを追いかけるよりも、重心の位置と板の動きの関係性、バランスのレパートリーを増やしていくことが大切になります。例えば写真のようなビッテリーターンや、リバース・カービングなども、重心と板のバランスが分かれば難しいことではありません。

カービングターンにおすすめのボードは、これっ!

カービングターンに適したボードは、いくつかのポイントがありますが、まずは「操作性」「エッジグリップ」の2つが大きなポイントになると思います。そして「操作性」と「エッジグリップの性能」を左右する要素も、さまざまあるのですが、スペックとしては「キャンバーの形状」「有効エッジの長さ」「フレックス」「トーション」の4つを絶妙に組み合わせることで、カービングターンに有効な基本性能に仕上がります。

注目してほしいのは、ノーズとテールが丸い形状ではなく、トンカチのように四角くなっているハンマーヘッド形状のボードです。このハンマー形状により、一般的な丸い形状のボードと全長が同じでも、有効エッジ長がより長くなるメリッットがあります。全長がいつもより短めのボードを選んでも、必要充分なエッジグリップが得られ、全長が短くなった分だけスイングウエイトも軽くなって、カービングターンはもちろん、非常に扱いやすいのでおすすめです。
BCストリーム・R-2
サイズ:148N/151N/151/154N/154/157/161cm

ハンマーヘッド形状を採用し、抜群の操作性を誇るBCストリームを代表するボードです。注目してほしいのは有効エッジ長が状況によって変わる「VCキャンバー(バリアブルキャンバー)」です。角付けをしていない状態や浅い角付けの時は有効エッジ長が短く、操作性に優れていて、角付けを強くすると、有効エッジ長が伸びて、最大限のエッジグリップを生みます。カービングターンに必要な要素である操作性と、エッジグリップの両方を高いレベルで体感できます。

BCストリーム・S
サイズ:146/149/152/155/158/161cm

BCストリームのフラッグシップモデルで、このSを基本コンセプトに、すべてのBCストリリームのボードが作られています。トップとテールがラウンド形状のディレクショナル・ツインボードですが、今季より「R-2」同様にVCキャンバー(バリアブルキャンバー)を搭載しています。これにより高い操作性と確かなエッジグリップを兼ね備えていますが、ハンマーヘッド形状のモデルほどターン性能(カービング)に偏り過ぎていないのでトリック系やフリーライディングでも、すべての状況で高いポテンシャルを発揮するオールラウンドモデルになっています。

角付け操作だけでボードの動きを確認!

次はカービングターンを覚えていくための細かく動きをチェックしてみよう。ここで一番覚えて欲しいポイントは重心の位置。ボードに対して重心の位置をどうするか、重心の位置の違いによってボードはどんな動きをするのか。その関係を理解すれば、どんなターンも簡単になる。ターン技術を、できるだけシンプルに考えよう!

皆さんの技術レベルが分からないことと、カービングができない理由がどこにあるのかがみえないので、ここでは練習例を挙げるのではなく、基本的な重心位置と板の動きの関係、およびバランスの再確認をするコンセプトで解説していきます。

ターンの基本要素は昔から「荷重」「角付け」「回旋」と言われ、最近では板の「トーション」もターンに利用します。ですが、今回は異なる重心位置(ポジション)で、それぞれ「角付け」の動きだけを意識して滑ることで、板がどのような動きになるのかを覚えてみましょう。まずは、ポジションと角付けの基本を確認します。

基本プラス「高低・前後」のポジションを確認

まずは重心の位置、ポジションを確認するところからスタート。両足が固定されているボードの上で重心位置は基本的なポジションを基準にすると、高いか低いか、前足寄りか後足寄りか、その4つのポジションです。板の動き&傾き方を覚えるために、各姿勢でとにかく動いてみましょう。

基本ポジションとあわせて5つの重心位置により、板の異なる動きや傾き方などを覚えると、どの位置に乗れば板がどう動くか、つまり板をどう動かしたいから、重心の位置をどうすればいいか分かってきます。


■基本ポジション
重力に対して鉛直方向に重心があり、両足と両足のカカトとつま先にほぼ同じくらいの重さが均等に掛かっていて、板がフラットな状態。かつ、どの方向にも動けるナチュラルな位置が基本ポジションです。このポジションから重心を動かして板をコントロールしていくので、この基本ポジションの重心位置を覚えることがとても大切です。

エッジを立てるには上体の「外傾」がポイント

どのポジションでも、そのまま身体の軸を左右に傾ける「角付け」の動きをすればエッジが立ち、板を傾けることができます。そして、板の傾きをさらに強くしたければ、単純に考えれば、さらに身体を傾ければいいのです。

しかし、身体が傾くほど、板と重心の距離は離れるので、バランスを保つことが難しくなります。雪面状況やスピード、筋力やバランス調整力などによって、バランスを保つ限界があります。そこで板の傾きが強くなっても、バランスが取りやすい「外傾(リーンアウト)」を覚えましょう。

上体の重心位置を板に近づけることで、より少ない筋力でバランスが取りやすくなり、板の傾きを効率よく引き出すことができます。ただし、やみくもに外傾すればいいわけではありません。全体のバランスが崩れないよう、最適な上体の外傾ポジションを見つけることが大切になります。

ビンディングのセッティングに注意!

「カービングターンを覚えたい」、「カービングターンがうまくできない」と思ったら、使っているビンディングもチェックしましょう。ヒールサイドのターンは、基本的にビンディングのハイバックに寄りかかっていくことでエッジが立ちます。

エッジが引っかかりすぎないようにと、ハイバックが立った状態にセットしている人がとくに多いです。カービングターンを覚えることに焦点を絞って考えれば、ハイバックは立たせずに角度をつけて、アキレス腱からふくらはぎ部分がコンタクトしているようにセットしたほうが効果的です。カービングターンでは足首の角度がとても大切です。まず、足首の角度が決まり、次にヒザの角度や股関節が決まり、最終的に重心位置が決まると考えておいてください。

なお、グラトリ(グランドトリック)をしたり、パークに入って遊ぶような人など、エッジが立ちすぎると困るような人は、調整は慎重に。また、角度のつけすぎにも気をつけてください。

高低ポジションで、ボードの傾きとスピードの違いを知る

基本的な重心や身体の使い方を理解できたら、今度は雪上で試してみましょう。まずはロングターンから。考え方だけでなく、やることもシンプルです。重心位置の違いによって、ボードがどんな動きをするか。また滑走中には身体にどんな外力が掛かって、どうすればバランスをとりやすくなるのかといった感覚を少しずつ、つかんでいきます。


■高いポジションの重心の位置
まずは、高いポジションをキープしたまま、身体の軸を左右に傾けてロングターンをしてみましょう。重心が高いとバランスを取るのが難しいかもしれませんが、どれだけ傾けられるのか、また傾き具合が変わると板はどんな動きになるか、どんな反応があるかをチェックしてください。


■低いポジションの重心の位置
低いポジションでは、重心が低いと板の傾きが作れないので外傾を使っても構いません。注意したいのは上下動を使ったり、身体のひねりを使わず、あくまでも身体の軸を傾ける角付けの動きだけで、板の動きがどうなるかを確認してください。

また、連続写真の中で、切り換え時の板がフラットな状態の時の重心位置と、左右のターンマックス時の重心位置と板の傾きがどんなバランスになっているかをチェックしておきましょう。

重心の移動距離とスピードの関係

高いポジションと低いポジションの切り換え場面での、身体の傾き方や板の傾きに注目です。高いポジションでは身体が大きく傾いてエッジが立ち、左右の重心の移動距離は大きくなっています。一方で低いポジションでは身体の傾きは少ないが外傾によりエッジが立ち、左右の重心の移動距離は少なくなっています。重心の移動距離が少ないほうがバランス的に安定するので、より高速なターンでは有効です。

前寄りか後寄りか、ボードの動きの違いを確認

次は重心を前足寄りと後足寄りにしたポジションで滑ってみましょう。写真は重心を前足寄りにして滑ったもの。最初は少し極端に重心を移すくらいの気持ちでやってみましょう。前足寄りでは板のテールが軽くなり、傾けていく動作と共にテールがターン弧の外側に動いて、ボードの向きが変わりやすくなります。


■重心を後足寄りにして滑ってみよう
後足寄りではトップが軽くなり、ターンの内側ではなくフォールライン方向へ板が動いていきやすくなります。この2つのポジションによる板の挙動の違いは、はっきり分かるでしょう。

テールの動き方に注目してみよう

横からのアングルで、後寄り・前寄りの動きを比べると、テールの動きの違いが一目瞭然。どちらの写真にも特徴がよく出ています。

前足寄りのターンは身体もスキーもターン弧内側へ向かう動きが出ているのに対し、後足寄りのターンはターン弧内側ではなく、フォールライン方向に板が動いています。つまり板に回転力を与えるにはどうしたらいいか、板の動きに加速感を出すにはどうしたらいいかといったヒントがあります。

ロングターンのまとめ『傾きと前後ポジションの習得』

ポジション別による重心の位置と板の動きがわかってきたら、後はどうしたらいい?それは場面ごとに自分なりに要素を組み合わせてみましょう。

例えば、前足寄りの重心でターンをして、テールがスライドする動きを止めたいと思ったら重心を後ろにして、スライドする動きを止めて、前に加速していく動きを導きます。さらに、その動きから、今度は上下動や回旋といった要素も加わえていけば、さらに違うターンにすることもできます。

そうやって考えていけば自分の思い描くカービングロングターンがどうすればできるのか、自分なりの答えが見つかるはずです。カービングターン以外でもターンをどうやって構成しようかと常に考えながら滑ってみましょう。


■横から見たロングターン

ショートターンの最適なポジションとは

さあ、最後はショートターン。と言ってもロングターンと考え方ややることは、ほとんど同じです。ロングターン同様に、こちらも高いポジションと低いポジションで、角付けの動きを意識しながらショートターンを滑ってみましょう。


■高いポジションのショートターン
高いポジションはショートターンでも上体の動きが大きく、重心の移動する距離が多くなり時間も長くなります。ショートターンを意識していてもターン弧はやや大きめになってしまいがちです。


■低いポジションのショートターン
低いポジションではロングターンと同じように上体の外傾を使うことで板の傾き、動きを引き出そうとしています。上体の動きがほとんど見られなくなっているところにも注目してください。

細かいターンを刻むには重心を低くして対応

ポジションが低くなると、重心位置の移動が少なくなって上体の余計な動きが減った分、脚部の動きを引き出せるようになります。高いポジションでは運動を素早くすること、ターン弧を小さくすること、そしてバランスを保つことも難しくなってきます。

高いポジションは重心が大きく動いて、ロングターンでやった動きとあまり変わらないシルエットになっています。身体を傾ける時間も少ないので板の傾きも小さくなっています。

ターン弧の大きさとスピードコントール

次は前足寄りと後足寄りでのショートターンです。ロングターンと運動の仕組みは同じ。違いは運動の早さとタイミングの早さになります。

ロングターンではターンから次のターンへの時間的な余裕もあり、重心位置と板の動き、傾きなどのバランスを比較的確認しやすかったと思います。ショートターンは時間的な余裕があまりないので、操作を慌てないようにしましょう。



■前寄り・後寄りのターン
最初の連続写真が前足寄りのターン、続けて後足寄りのターンです。最初は思っているよりも板がスライドしてしまうことが多くなってもいいので、コントロールを重視してしっかりと感覚をつかんでください。

前後バランスでスピード調整

前後それぞれの重心位置について見られる現象はロングターンとほぼ同じで、前足寄りの重心では板が回転しやすく、後足寄りになると直進性&加速感が出ます。

ショートターンでは前後の重心位置の移動を少なくしないと、素早い動きができないので、回転する動きと直進する動きを引き出す重心位置の差をどうするかといったことも考えながら練習してみてください。

ショートターンのまとめ『技術の再構築でターンを洗練』

重心位置、重心移動のやり方によって板をコントロールすることを覚えれば、ロングもショートも関係なく、スライドもカービングも自由にできます。

ターンに悩みがある人は、身に付いてしまった操作の悪いクセが抜けないのが原因になっていることも多々あります。今回のテーマから自分の技術ベースを再構築し、カービングターンができるキッカケにしてください。

ただカービングターンができるようになっただけで終わらずに、例えばひとつのターンの中でターンスピードにメリハリをつけるだけで、俄然ゲレンデでの注目度は高まります。ビッグエアでスタイルをアピールすることと同じように、ゲレンデを滑っているだけでも、周りから「お!」と思わせるような個性的なターンが魅せられるように、楽しみながらテクニックを磨きましょう。

取材協力:丸沼高原スキー場

日光白根山ロープウェイを利用すれば標高2000mの極上パウダーと標高差600m最長4kmの迫力のフリーライドがあなたをお待ちしております。
http://snow.gnavi.co.jp/guide/htm/r0025s.htm

ぐるなび© Gurunavi, Inc.