取材協力:アサマ2000スキーパーク
スキーには検定があり技術のレベルごとにランクがあります。検定は自分の技術がどれ位のレベルを知る目安。ここでは、SAJ(全日本スキー連盟)のスキー検定に関する内容と受検手順、超基本の知識や合格を目指す人に役立つトレーニング法まで幅広く解説します。

荒井拓磨【監修・モデル】

神奈川県出身。幼少期からアルペンスキーを始め、中央大学スキー部在籍時に全日本スキー選手権大会アルペン種目のスーパーGで優勝。SAJデモンストレーターに認定され、全日本スキー技術選手権大会にも参戦。現在は北志賀高原スキースクールに所属し、キャンプも開催している。

検定は腕試しにもってこい

基礎スキーには技術に応じて取得できる資格があり、広く知られているのがSAJ主催の「スキー検定」です。合格するとバッジがもらえることから、「バッジテスト」とも呼ばれています。

SAJのスキー検定には1~5級の「級別テスト」などがあります。公認検定員がジャッジし、規定のポイント以上を獲得すると合格です。検定で評価された結果は、自分のレベルが分かる良い目安となるのです。検定を目標に滑るのではなく、自分の上達度を測る目安として検定に挑戦してもいいでしょう。

評価されることで目標ができる

ある程度滑れるようになると、走りがイマイチだったり切れあるターンができないなど、技術を高めたい思いが生まれてくるでしょう。検定に合格すれば自分の滑りが評価された喜びがあります。合格できなくても検定結果で自分の苦手な部分が見つかり、今後トレーニングすべき点を明確化できるのです。上達したいというモチベーションがさらに高まり、滑ることがより刺激的に感じられるでしょう。

どっちの滑りがカッコイイ?

スキーは楽しく滑ることが第一ですが、より上手く、よりカッコよく滑れるようになれば楽しさが倍増。どんな斜面でも上手く滑れるようになれば、やはり気分が良いものです。では、上手い滑りとそうでない滑りを単純に比べてみましょう。

まず、この写真は大回りのカッコイイ滑り。検定レベルが上がるほど滑走スピードの高さが求められます。大回りは高速ターンでスキーの角付けがしっかりでき、身体の軸を良いポジションに保つことがポイントです。
この写真はカッコ悪い大回り。このように身体がターン弧の内側に倒れた「内倒」の姿勢や、板が平行に揃っていないバラけた滑りはカッコイイとは言えないでしょう。
次は小回りのカッコイイ滑りです。小回りはスキーを揃えたパラレルの状態で小さなターン弧を描きます。カッコ良くコツは脚部を上手に使ってスキーのずれ幅をコントロールしながらリズム良く滑ること。適度な上下動も必要です。
そしてこちらがカッコ悪い小回り。上下動の際、身体が真上に伸びた「棒立ち状態」だと力が逃げてスキーを上手く回し込めません。それを補助するため内足を上げて方向転換したり、リズムが乱れてきれいなターン弧が描けなかったりします。
コブや未圧雪の不整地では、カッコイイ滑りとそうでない滑りが明確にわかります。これはカッコイイ滑りの写真。身体の軸がブレておらず、滑りが安定しています。
身体がローテーションし、後傾になったカッコ悪い例。スキーを回し込めず、足を持ち上げて方向転換を助けています。

検定はスキースクールで受けられる

SAJのスキー検定は、全日本スキー連盟に加盟しているSAJ公認のスキースクールやスキークラブで受けられます。最も一般的なのは、スキースクールが実施する検定を受ける方法。検定の実施日はスクールごとに異なります。各校のホームページで確認するか直接問い合わせてみましょう。実施日を調べて申し込み、スクールがあるゲレンデで受検します。

検定にはレベルごとにいろんな種類があります。知られているのが、レベルにより1級から5級に別れた「級別テスト」。ほかには、よりレベルの高い「プライズテスト」、12歳以下が受けられる「ジュニアテスト」、スキーを教える知識や技術を得る「公認スキー指導員検定」があります。
ゲレンデには検定で使用するコースがあります。受検するスキースクールが決まったら、事前に斜面を滑って知っておくことをおすすめします。

SAJってなに?

スキー検定を実施している、SAJについても触れておきましょう。SAJとは「Ski Association of Japan」の略で、「全日本スキー連盟」という公益財団法人です。基礎スキーにとどまらず、競技スキーやモーグルなどのフリースタイル、スキージャンプ、クロスカントリースキーなど日本国内のスキー競技を統括しています。

SAJスキー検定の資格認定もこの団体が管轄し、級別テストの1級に合格した場合、SAJ会員に登録する必要があります。国内にはほかにも「SIA(日本職業スキー教師協会)」というスキー団体がありますが、ここではSAJが実施するスキー検定のみに触れています。

検定結果で滑りの得手不得手がまる分かり

スキー検定では複数の公認検定員が滑りをジャッジし、合計ポイントの平均が規定の点数に達していれば合格となります。ジャッジのポイントは、スピードとターン弧のコントロール、バランスやリズム、タイミングなど、コースコンディションに対応して滑る能力を評価します。大回りや小回りなど種目ごとにポイントが出るため、得意もしく苦手な種目が明確に分かります。

検定にはこんなスキーがおすすめ

基礎スキー向けの板は「デモモデル」としてリリースされています。レーシングモデルのテクノロジーを基礎向けにアレンジしたものも多く、GSモデルは大回り用、SLモデルは小回り用として調整されています。

レーシングモデルを使ってスキー検定を受けても問題ありませんが、板の長さや回転半径などの規格が細かく定められているため、デモモデルのほうが、程良い長さと回転半径が求めやすいでしょう。最近のスキーは男性なら165~170cmの長さで、大回りも小回りもできるモデルが出ています。
レーシングモデルは、GS用が大回り、SL用が小回りに向いています。レーシング用のテクノロジーをアレンジしたデモモデルもたくさんリリースされています。

検定の種類 01/級別テスト

「級別テスト」は好きな級から受けられますが、1級だけは2級に合格しなければ受検できません。また、1級は検定前に「事前講習」が必須。事前講習で受けた証明書、「講習修了証」は、受検年度内なら有効なので検定に不合格となっても、同じ年度内に再受検する際、事前講習が免除となります。なお、1級合格者はSAJ(全日本スキー連盟)に登録が必要です。


1級と2級の検定でどんな種目を行うか説明しましょう。まず2級は中斜面~中急斜面で行い、大回りと小回り、シュテムターンの3種目があります。1種目あたり100ポイントで、すべての種目の合計点が195ポイントで合格です。2級も事前講習がありますが、これは任意です。

1級では検定コースの難易度が高くなります。種目は大回りと小回り、不整地、横滑りの4種目。2級よりも滑りの完成度の高さが求められ、合計点280ポイント以上で合格です。
大回り/スピードを維持しつつ大きなターン弧を流れるように連続させます。
小回り/左右均等の小さなターン弧をリズムよく描くことがポイントです。
不整地(小回り)/1級検定で行われる種目。コブなどの不整地を小回りで滑ります。
横滑り/これも1級の種目。スキー全体をずらして滑る横滑りです。
シュテムターン/山側のスキーを開いてターン導入する滑り方。2級にある種目です。

検定の種類 02/3~5級はビギナー向けの級別テスト

3~5級は「級別テスト」でも優しい検定です。5級は緩斜面でプルークボーゲンができればOKという内容。4級は少し斜度のあるコースで、プルークボーゲンにリズム変化をつけた滑りが求められます。3級はプルークボーゲンとシュテムターンの2種目で、中斜面で検定します。ある程度滑れるようになったら、3級からチャレンジしてみてもいいでしょう。

検定の種類 03/ジュニアテスト

「ジュニアテスト」は12歳以下が受けられる子ども向けの検定です。1~6級があり、未就学児でも受けられます。以前は「級別テスト」に年齢制限があり、子どもはこの検定を受けていました。現在はそれがなくなり、子どもでも級別テストが受けるようになっています。

しかし、このジュニアテストと級別テストでは、求められる技術レベルに差があります。同じ1級でもジュニアテストより級別テストのほうが厳しくジャッジされます。段階を追ってステップアップし、子どものやる気を引き出していくなら、「ジュニアテスト」からチャレンジするのがおすすめです。

検定の種類 04/プライズテスト[テクニカルとクラウン]

スキー検定には、1級よりもさらに技術向上を目指す、「プライズテスト」という資格があります。それが「テクニカルプライズ」と「クラウンプライズ」という2つの資格です。テクニカルは1級を取得、クラウンはテクニカルを取得していることが受検資格となり、受検する年度に事前講習(4時間)を修了していることが必須です。

急斜面での大回りと小回り、不整地の小回り、フリー滑走の4種目があり、合計点がテクニカルは300ポイント、クラウンは320ポイント以上が合格。級別テストに比べて受検できる日程が少なく、開催されるスキー場も限られており、13歳(中学生)以上から受検できます。

検定の種類 05/公認スキー指導員検定[準指導員と指導員]

「公認スキー指導員検定」は、技術を教える指導者を目指す人が取得する資格。技術の高さではなく、人に滑りを教える指導力の高さが試されます。資格は「準指導員」と「指導員」の2つ。プルークボーゲンやシュテムターンといった基礎種目があり、いかに分かりやすく技術を見せて伝えられるかといった点が重要視されます。

スキーの理論に関する筆記試験もあり、相応の知識も必要となります。受検資格も細かく決められ、まずSAJ会員であり、受検前に養成講習会を修了していることが前提です。そして、準指導員は20歳以上で前年度までに1級を取得していること、指導員は23歳以上で準指導員の資格を取得してから満2年以上経たうえ、加盟団体からの推薦や承認を得なければいけません。

受検にかかる料金

スキー検定にかかる費用は、まず受検料。そして合格後に公認料が必要です。SAJ会員登録が必要な検定なら登録料、事前講習を受けるなら別途料金が発生します。つまり、1級を受検して合格した場合、受検料+公認料+登録料+事前講習が必要になります。

受検料や公認料は受ける検定で料金設定が異なり、レベルが上がるほど受検料が高くなります。事前講習料は受検するスキースクールで変動し、事前講習+検定がセット料金のところもあります。

目安としては、1級なら受検料3500~4000円、事前講習料4000~4500円、公認料は2000円。さらに1級はSAJ会員の登録料が必要になりますが、これは一般、高校生、中学生で異なるため、これは受検する各スクールに確認してください。

合格するためのトレーニング 01/シュテムターン

シュテムターンは斜滑降から山側のスキーをハの字に開き、開いたスキーに体重を移動させたら、谷側のスキーを引き寄せてターンを仕上げていく滑り方。スキーの開き出しと引き寄せの動作が流れるように行うことがポイントです。

斜滑降から山側のスキーを開き出し、ポールを突いてターンに入るきっかけをつくります。谷側のスキーを引き寄せてエッジ切り替えターンしていきます。スキーに乗り込んだらターン後半をきれいに仕上げていきましょう。

合格するためのトレーニング 02/大回り

スピードがのったキレある大回りは、エッジと雪面の接地面が少なくなりバランスをとるのが難しくなります。バランスをとれた安定感ある滑りを可能にするはポジショニング。体が常にスキーセンターにあるよう意識すると、良いポジショニングが保てます。

腰にポールを挟み、両手でもう1本のポールを持ち、これが平行になるよう滑るトレーニングがあります。低い姿勢が保て、腰や肩のラインが平行になった安定感ある滑りを身につけられます。

合格するためのトレーニング 03/小回り

小回りのトレーニングに有効なのが、ポールを短く持つ方法。低い姿勢で重心移動するトレーニングになります。雪面に対してまっすぐの体軸ができ、身体の真下で骨盤や脚部を積極的に動かせます。俊敏な動きをしながらバランスのとれたスキー操作を身に着けましょう。

脚部をひねりすぎると動きが止まってスムーズなターン弧が描けません。はじめは、ゆっくりでもいいので左右均等のきれいなターン弧を描くことを意識しましょう。また、ポールワークはリズミカルな動きを意識。

合格するためのトレーニング 04/不整地

検定の不整地種目は、コブの小回りが主流。整地の滑りに自信があっても「コブは苦手」というスキーヤーは多いでしょう。検定で注意したいのが、途中でコースアウトしてしまうこと。コースアウトするとジャッジが点数をつけられません。ゆっくりでもいいので、ゴールまで完走することを目指しましょう。

最初はコブの溝をなぞる滑りや、コブを越えるときにずらしで減速するなど、スピードをコントロールして丁寧にターンを仕上げましょう。足元を気にすると目線が下がりやすくなります。目線は1つ2つ先のコブを見つめ、上体は常にフォールラインに向けます。あとは何度も繰り返し練習するのみです。

合格するためのトレーニング 05/横滑り

横滑りは、斜滑降のように横に滑るのではなく、スキーのずらしを使いながら斜めに進み、180度回転してまた反対方向に進む動作を繰り返します。簡単そうに見えて、エッジコントロールと良いポジショニングが要求される意外と奥深い種目です。

ポイントは、上半身と腰を谷側に向けたきれいな外向姿勢をキープすること。山側のスキーが少し前に出るよう、スキーの前後差を意識すると自然な外向姿勢がとれるようになります。
まず外向姿勢を保ったまま斜めに横滑りし、斜面のはじまできたら脱重して板をニュートラルにします。ターンではなく足裏と脚部を返す動作で板を180度回転させたら、反対方向に横滑りで進みます。

自分の滑りは人に見てもらう

一人でトレーニングしても、上達度がわかりません。ときには他の人に滑りを確認してもらいましょう。気づいた点を指摘してもらえば、改善点や課題が見つかります。ビデオカメラやスマホで動画を撮影し、自分の滑りをチェックするものおすすめ。他の人の滑りと見比べることで、気づかされることがたくさんあります。何より、一人でトレーニングするよりも仲間同士で切磋琢磨したほうが、スキーがずっと楽しくなるはずです。

上手い人の滑りを学ぶ

トレインやDVDで他の人の滑りをチェックしてみましょう。トレインとは、人の後ろについて滑ること。上手い人の後を滑って同じラインをなぞるように通ると、ターンのタイミング、進む方向、ターン弧の仕上げ方など勉強になることがたくさんあります。

スキーレッスンのDVDや雑誌を見たり読んだりして、知識を身に付けることもおすすめです。滑る運動の仕組みがわかると体の動かしやスキーコントロールを意識できるようになります。
前を滑る人と同じラインを通るトレインだけでなく、動きをリンクさせて滑るトレーニングも勉強になります。

スクールは技術上達の近道

個人でのトレーニングに限界を感じたら、スキースクールの受講がおすすめ。高い技術を備え、知識豊富な講師によるレッスンは、スキルアップの近道です。

検定受検者向けのプログラムを用意するスキースクールもあります。検定に使うコースで練習できたり、コースの戦略法や対策法まで指導してもらえ、受検に備えられます。もちろん、通常のレッスンを受けるだけでもスキルアップは望めます。
ビデオクリニック付きの講習など、スクールごとにさまざまなプログラムが用意されています。各校の情報をチェックしてみましょう。

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