取材協力:アサマ2000スキーパーク
ポールは「アルペンスキー」、「競技スキー」などと呼ばれるスキー種目のひとつ。ポールで規制されたコースを滑り、タイムを競う種目です。レーサー志向に限らず、スピードを体感したりゴールの達成感を味わったり、幅広いスキーヤーが楽しめます。そんなポールの超基本のノウハウから、上達するテクニックまでレベルを問わずに楽しめる情報を紹介いたします。

荒井拓磨【監修・モデル】

神奈川県出身。幼少期からアルペンスキーを始め、中央大学スキー部在籍時に全日本スキー選手権大会アルペン種目のスーパーGで優勝。SAJデモンストレーターに認定され、全日本スキー技術選手権大会にも参戦。現在は北志賀高原スキースクールに所属し、キャンプも開催している。

ポールの魅力は疾走感!

ポールの魅力はなんといっても、ビュンビュン飛ばせる爽快感でしょう。一般コースをハイスピードで滑るとなると他の人を避けなければいけません。しかし、ポールは規制されたコースなので滑るときは基本的にひとり。思う存分、ハイスピードで滑ることができます。

レーサー志向に限らず、トレーニングとしてポールを滑るだけでも十分楽しめます。基礎スキーヤーもレジャースキーヤーもどんどんチャレンジしてみましょう。スキー場によっては常設ポールを設置しているところもあります。アスレチックやゲームを楽しむ感覚で、もっと気軽にポールを楽しんでみてください。

まずは型を気にせず気軽にトライ

ポールに入るのは上級者限定というイメージを持っていませんか? 実はそんなことはなく、ポールはプルークでゆっくり滑っても何の問題もありません。ポールが並ぶコースを抜けてゴールにたどり着くだけでも達成感があり、スキー初級者もファミリーも気軽に楽しむことができます。

タイムが遅くても気負わず、まずは気軽にトライ。1本目より2本目のほうが、タイムが早くなるなど挑戦するごとに喜びが味わえます。もっと上手くなろうと思うモチベーションにもつながるでしょう。

ポールでスキーコントロールが身につく

ポールは規制されたコース通りに滑らなくてはいけないため、ターンやスピードのコントロールが必要です。最初はスピードに怖さを感じても、何度も体験するうちにアグレッシブに滑れるようになります。

どんどん攻める積極的な滑りが身につくと、上半身や腕まで使った大きな動きの滑りや素早いターンの切り替え、バランスを崩しても立て直せる対応力など、スキーの操作性がトータルで向上します。スキーコントロールも上達し、スピードが出ても安定して滑れ、ポールに限らず一般コースの滑走もずっと楽しくなります。
ポールは規制されたコースに合わせてターンするため、スキー操作がとても重要。それがスキルアップにつながるのです。

タイムで勝敗がつく単純明快さがいい

ポールはタイムでどちらが速いかを競う、単純明快さが特徴。わずかなタイム差で「勝った」「負けた」の結果が分かりやすく決まります。速さに自信があっても、攻めすぎて途中でミスをすればタイムロスになり、ポールの未通過やコースアウトして棄権になることも。ゆっくりでも、きちんとゴールした人が勝者となるケースだってあります。こういった駆け引きや、仲間とわいわい競い合うだけでも十分楽しいものです。
勝って喜び、負けて悔しがる。どちらの結果でも、もっとスキーが上手くなりたいと思えるはず。

競うことで自分のレベルが分かる

ポールはタイムで勝敗がきっちり分かる明快さが魅力。結果によって自分の技術がどのレベルにあるか確認もできます。勝ち負けがあるからこそ、もっと上手く、速くなろうという気持ちが沸き起こってくるものです。

上達すればタイムが縮まるだけでなく、滑りもトータルで上達し、スキーの楽しさがどんどん広がっていきます。仲間と切磋琢磨して競い合えば、一人だけで滑るよりも向上心が沸き、よりスキーが刺激的な遊びになります。

コースは赤と青の旗門を交互に通る

アルペンスキー(競技スキー)は、コース上に立てた赤と青のポールの間を交互に滑る種目です。そこからこの競技を「ポール」とも呼んでいます。また、ポール自体は「旗門」ともいいます。

ポールには滑走距離や標高差などが異なるいくつかの種目がありますが、どの種目も基本は赤と青のポールを交互に通り、規制されたコースを滑ってゴールすること。途中でポールを通過しそびれても、戻って滑り直してゴールすれば記録が出ます。未通過のままだとゴールしても失格です。
写真のコースのようにポールが大きく左右に降ってある場合も、赤、青、赤とポールの外側を交互に通ります。

インスペクションで攻め方をイメージ

ポールはいきなりコースを滑らず、まず下見をするのが基本です。この下見のことを「インスペクション」と呼んでいます。大会などではインスペクションの時間が用意され、斜面やリズムが変化する場所、ポールのセッティングなどを覚えてコースの全容を把握します。インスペクションでは原則的にターンは禁止とされ、横滑りかプルークなどでゆっくり滑ります。
滑る前にもスタート地点でライン取りをイメージし、流れを組み立てるのがポイントです。

技術系の種目/SLとGS

アルペンスキーにはいくつかの種目があり、滑走距離や標高差、旗門数などが異なります。ゲレンデの常設ポールバーンなどでよく目にするのは、SLやGSのセッティング。写真はGSのセッティングです。
GSはジャイアントスラローム(大回転)の略で、SLよりも旗門の間隔が広く、ロングターンがベースとなりスピードを落とさず滑ることがポイントとなります。そして、SLはスラローム(回転)の略。旗門の間隔が狭く、正確で素早いスキーコントロールが要求されます。これらのSLとGSの種目は技術系と呼ばれています。

スピード系の種目/SGとDH

アルペン種目の中でもスピード系と呼ばれるのがSGとDH。SGはスーパージャイアントスラローム(スーパー大回転)、DHはダウンヒル(滑降)の略です。スタートとゴールの標高差が大きく、コースも長くなり、コース上にジャンプが設定されることがあります。

旗門の間隔がとても広く、スピードを落とさず高速ターンで滑りきるかことが重要。DHにおいては最高速度が時速100kmを超えることもあります。

大会を体験してみよう

冬季はいろんなゲレンデでアルペン競技の大会を開催しています。本格レーサーが集う公式大会からファミリーで参加できる優しいものまで内容は多種多様。単純に速さを競うことが一般的ですが、申告タイムに近い順、親子のタイム差がどれくらいなど、レベルを問わず楽しめる大会もあります。

なお、公式大会は、SLやGSなら2本滑った滑走タイムの合計で順位が決まるなど、種目ごとに細かな規定があります。ほかにも、DHとSLの2種目の合計タイムで順位を決める複合種目など、大会ごとにいろんな内容になっています。

ポールのテクニック 01/ライン取り

ポールのライン取りは種目ごとに違うため、ここではGSのセッティングを例に説明します。基本はポールとポールの間の最短距離を通り、なるべくポール近くを通過すること。ターンをコンパクトにまとめながらスピードを落とさず、流れるように滑りをつなげることがポイントです。

そのため、ポールの手前で切れ上がり、高い位置からポールを狙うライン取りが有効とされています。ほかにもドリフトといって、ずらしを利用してスキーをクイックに切り替え、直線的にポール間を進む方法があります。
まず、ベーシックなライン取りです。ポールの近くを通過したらエッジを切り替え次のターンに移ります。ポールとポールの中間点で体勢を整えておき、しっかりと次のポールを狙います。
これは、より高い位置から直線的に攻めるライン取り。ポールの手前で切れ上がり高い位置からポールを狙います。ポールを通過するときはほぼターンの後半。かなりポール近くを通過できます。通過後はすぐエッジの切り替え動作に入り、山側に切り上がって次のターンの体勢を整えます。また高い位置から直線的に次のポールを攻めていきます
そして、ドリフトを使って切り替える場合。ポール通過後にすぐエッジの切り替えるのは同じですが、そのときドリフトというスキーのずらしを使います。荷重を抜いて板をフラットし、身体の下で板を切り替えます。素早いエッジの切り替えが可能となり、エッジの角付けを瞬時に決める高い技術を伴います。また、ドリフトするタイミングも重要。エッジを切り替えたらポール間を直線的につなぐラインで次のポールを狙います。
いくつかの悪い例もあげておきます。まず、ターンするとき横滑りになるケース。横滑りして真下に落ちポール通過後に横に進むのは、きれいなU字の弧ではなくL字型のライン取り。ブレーキもかかってタイムロスにつながります。
次に内倒してバランスを崩すケース。ポールに近づこうと身体だけ倒すと内倒してしまいます。外側の手が持ち上がり、スタンスが崩れた不安定な体勢になると身体が遅れ、次のターンに入るタイミングが遅れてタイムロスに繋がります。

ポールのテクニック 02/ポールをさばく

タイム短縮のために最短ラインを通ると、身体がポールに当たるようになります。当たって失速しないよう、また衝撃を和らげるために、腕をたたんで避けたり肩で受け流したりします。

基本はポール通過時にターン内側の手をたたんで肩でポールを受ける方法。よりポールの近くを通過するなら、肩や腕で弾いてしまうテクニックがあります。ポールに当たると強い衝撃を受けるためヘルメットなどで身体を保護することが必須です。
まず腕をたたんで避けるテクニック。ポールを通過するとき、ターン内側の腕を小さくたたんでポールを避けます。
間近を通るときはポールを避けきれません。顔にポールが当たるのを避けるため、肩や腕で弾いてしまいます。

ポールのテクニック 03/目線や切り替えのタイミングなど

ポールを滑るときは常に2~3旗門先を見ます。斜面変化を確認し、次のポール、さらにその先のポールをどんなラインで狙うか瞬時に判断します。
また、ポールを通過してしばらく進んでから次のターンを始動する人がいますが、それではタイミングは遅すぎてポール近くを通れません。エッジを切り替えるタイミングは、写真のようなポールを通過してすぐの位置です。

ポールとポールの中間点で次のポールに入る体勢を整えられ、狙い通りのラインで攻められます。また、ポールではスタンスを広めに取ると、滑りに安定感が出ます。
滑走時は写真のようにスタンスを広めに取り、腕を大きく広げる姿勢を意識。体勢が安定し、エッジを雪面に噛ませやすくなります。
これはスタンスが狭いダメな姿勢。クローズドスタンスだと不安定で動きが窮屈になり、スキーコントロールがしにくくなります。

クローチングの組み方

クローチングとは体を小さく丸め、空気抵抗を減らす姿勢のこと。正面から受ける風をなるべく後ろに流す、流線型をイメージした姿勢です。主にGS以上の種目で用いられ、直線コースやゴール付近でクローチングポーズを組みます。ほかには、大きなターン弧でポール通過していく箇所で、クローチングを活用したりします。
これが正しいクローチングの姿勢。両手を前に付き出し、足首とヒザを曲げて上体を前に倒します。ストックは両脇に抱えこんで身体の横に添わせておきます。
正面から見たときにストックが後ろから飛び出ないようにし、可能な限り空気抵抗を減らします。顔は下げず、視線は前に向けます。
こちらはダメなクローチング。姿勢が高く、これでは空気抵抗を減らせません。ストックを抱えるイメージも間違えています。
間違ったクローチングを正面から見ると、このようなイメージになります。

ポールコースの横でトレーニング

ポールのコースに慣れるため、そのコースをフリー滑走し、斜度や斜面変化を把握しておきましょう。SLなら俊敏なスキー操作を意識した小回り、GSならスピーディーで深回りのロングターンなど、ポールのセッティングを想定して滑ります。
ポールコース横にフリー滑走できるスペースがあるとベストですが、スペースがなければポールを設置していないときにトレーニングし、コースの癖を覚えていきます。

競技用のギア 01/スキーとブーツ

レーシングギアはより速く滑るためのテクノロジーが満載。一般的なゲレンデ滑走用のスキーやブーツでもポールは十分楽しめますが、スキルアップを目指すならレース用のギアを揃えるのがおすすめ。レーシングモデルと一般モデルの大きな違いはスキーやブーツの造りが硬くなっていることでしょう。
レース用のスキーブーツはシェルが固く、ワイズが狭くなっています。これは脚部の命令を素早くスキーに伝達し、強い力がかかっても足元を安定させるため。しっかり足首を曲げるには相応の脚力が要求されます。

レース用のスキーには競技種目に合った長さや回転弧があります。素早いターンが要求されるSL用は操作性が重要となるため、全長が短く回転半径は小さく設計。GS用は高速時での安定感を重視し、全長が長く、かつ操作性が高いことが特徴です。
公式大会では種目によって使用できるスキーの長さ、回転弧などが競技規定で定められています。なお、レーシングモデルのSL用、GS用は、一般スキーのモデルでは小回り用、大回り用と分類されています。

競技用のギア 02/ウエアは何を着る?

ウエアにもレース用モデルがあり、どれも競技での使いやすさを考えた設計になっています。ポールはわずかなタイム差をしのぎ合うシビアな競技です。高速で滑るほど空気抵抗を受けるため、身体にぴったりフィットするレーシングスーツ(ワンピース)を着用します。
レーシングスーツ姿になるのは大会本番やトレーニングなどでポールを滑るときだけ。フリー滑走やインスペクションでは、その上にジャケットやパンツを着込みます。レーシングモデルのウエアは、ブーツを履いたまま脱げるようパンツのサイドがフルオープンするなど、レースでの使用を考慮した設計になっています。

競技用のギア 03/その他の必要なアクセサリー

ポールを安心・安全に楽しむためには、身体を保護するプロテクターの着用を強く推奨します。特にヘルメットは必須アイテム。ポールを滑るときには必ずヘルメットを着用します。ほかにも、ポールを弾くときに手やスネを保護するパンチカードやシンガードなど、プロテクターにはさまざまな種類があります。
写真はパンチカード。ポールを拳で倒すSL競技で用いられ、ストックのグリップに装着して手を保護します。ストックも耐久性が高く衝撃に強いレーシングモデルがあり、クローチングで滑ることが多いSGやDHのような高速系種目では抱え込みやすいカーブしたタイプが用いられます。ただし、SLやGSならストレートタイプが主流です。
シンガードはスネに装着するプロテクター。これもSL競技で用いられます。上級者になるとポールをスネで倒すようになるからです。

旗門設置に必要な道具

ポールを設置するための道具もたくさんあります。ゲレンデに常設されているポールコースを滑る分には必要ありませんが、「こんなものがある」という知識のひとつとして覚えておきましょう。

まず、ポールが必要です。当たると倒れて衝撃を軽減する「可倒式ポール」が主流です。ポールに取り付けるフラッグもあります。ポールが「旗門」と呼ばれるのはこのためです。
雪上にポールを立てる穴を開けるドリルや、ポールを差し込むのにつかうレンチなどもあります。ポールコースを貸し切り利用し自分でセッティングできるゲレンデでは、これらの用具がレンタルできる場合もあります。
豆知識としてポールの設置方法も紹介しましょう。まず、セッティングを考えながらドリルで雪上に穴を開けます。ポールのスクリュー状になっている方を雪に差し込み、回しながら雪にねじ込んでいきます。スクリュー部分が見えなくなればOK。ポールはまっすぐ立てるようにしましょう。
ポールの設置で便利なのがレンチ。ポールに取り付け、バーの部分を回してポールをねじ込んでいけ、手作業よりも効率的です。
SL以外の種目では、このように2本ずつ立てたポールにフラッグを取り付けていきます。ここではポールのセッティングまで説明しましたが、常設ポールが設置されたコースならその手間はなし。気軽にどんどんポールにチャレンジしてください!

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