2017年1月16日から21日にかけて、北海道札幌市を拠点に「Hokkaido Snow Travel Expo 2017 in SAPPORO」が開催された。海外の旅行会社やメディア関係者を招き、世界中から注目を集める北海道のスノーリゾートの魅力を実感してもらうことを目的としたこのプロモーションイベントは、今季で6回目を迎える。道内14カ所のスノーリゾートと関係市町村、行政機関等による実行委員会が主催し、スキー体験や商談会などのほか、今回は開催地が札幌市ということもあり、市街の観光体験なども盛り込まれた。

北の大都市、札幌ならではのアプローチ

このプロモーションイベントは毎回北海道のスノーリゾートで開催されてきたが、今回は札幌市が拠点。まず、初日と2日目は新千歳空港から4コースに分かれて、パウダーやファミリー向け、観光地など目的ごとに、ルスツ、ニセコ、キロロ、富良野、サホロ、夕張、トマム、小樽などを視察。その後は札幌市内に滞在し、商談会やパーティは札幌プリンスホテルのコンベンションホールで行われた。道内のスノーリゾートを幅広く紹介すると同時に、大都市・札幌の存在も認知してもらえるよい機会となっただろう。
参加者全員が揃って、開会式が行われたのは3日目の夜。同時にパネルディスカッションも開かれた。今回はアジアや欧米、14の国と地域から58名が招かれ、昨シーズンよりも参加者が増加傾向にある。特に欧米からの参加が多く、北海道のスノーリゾートに対する注目度の高さが伺える。
パネルディスカッションでは、北海道大学観光学高等研究センターの客員准教授である遠藤正氏がモデレーターとして進行を務め、議論する題材を提示。4人のパネラーとして、イギリスのツアー会社「スキーサファリ社」の代表を務めるリチャード・ライス氏、マレーシアの旅行会社「CKバケーション社」創設者であるアリス・チン氏、ニュージーランドから北海道に移住し、ツーリズムコンサルタントとして活動するポール・ハガード氏、スキーレーサーとして活躍し冬季五輪にも出場した川端絵美氏が登場した。
札幌出身で選手時代に世界中のスキーリゾートを体験した川端氏は、「これほど大都市でありながら4mを越える雪が降っても交通機関が機能する札幌の街のすばらしさ」、「北海道の雪が世界的にもどれだけクオリティが高いか再発見したこと」について触れた。ニセコ町で暮らすハガード氏は、北海道のスキー場は欧米よりも標高が低いにも関わらず、ライトスノーでシーズンが長いことや、特にニセコは街が近く、外で楽しめることがビジターのニーズとマッチして成功に繋がったという考えを述べた。
イギリスが拠点のライス氏は、フランスやアメリカ、カナダなどのスノーリゾートに年間で約100万人を案内しているが、次は日本のスノーリゾートを案内地の視野に入れている。そのためには「日本らしい文化に触れられ、なおかつ英語が通じる環境であること」が重要なのだという。マレーシアのチン氏によると、南国では雪自体が珍しく、「スキーを楽しむのは厳しい状況」であるため、雪遊びや温泉、観光を提案していきたいのだとか。国によって、北海道での過ごし方や求めるサービスには違いがあるようだ。

ウェルカムパーティで北海道の食と文化に触れる

有意義なパネルディスカッションの後は、宴会場に移動してウェルカムパーティが催された。札幌市長や北海道観光振興機構会長が歓迎の挨拶や乾杯を務め、今年2月に開催される冬季アジア札幌大会についての紹介も行われた。パーティ会場では、ブリをまるごと一匹さばいて刺身やしゃぶしゃぶでいただいたり、職人がその場で握る寿司や茹でたての札幌ラーメンが味わえたり、北海道自慢の新鮮魚介や郷土料理を堪能した。
アルコールは北海道限定のサッポロクラシックをはじめ、道内産の日本酒やワインがドリンクコーナーに並んでいる。招待客は、それぞれのお酒の説明を聞きながら、いろんなお酒を飲み比べていた。
冬季アジア札幌大会の公式キャラクター「エゾモン」も登場。会場内をめぐって記念撮影に快く応じていた。
アイヌ民族博物館の協力によりアイヌの文化も紹介された。アイヌに伝わる歌や、伝統的な弦楽器「トンコリ」、板を口に挟んで糸で音を鳴らす「ムックリ」などの演奏のほか、古式舞踊などを披露。
毎年初夏に札幌大通公園を中心に開催される「YOSAKOIソーラン祭り」は人気の大イベント。多数の参加チームのなかでも、2004年から4年連続で「YOSAKOIソーラン大賞」に輝いた伝説のソーランチーム「新琴似天舞龍神」が会場で踊りを披露した。和のテイストでありながら軽快な音楽が流れ、華やかな衣装の演者が踊りだすと会場は一変して熱気に包まれる。
招待客が壇上で一緒にYOSAKOIを体験する機会も用意され、見よう見まねに踊りの決めポーズをする姿がとても楽しそう。

北海道と海外をつなぐ商談会

前夜の楽しいイベントから一夜明け、翌日は朝から札幌プリンスホテル国際館で商談会が行われた。道内のスノーリゾートや宿泊施設、各種ツアー会社など約45社が参加し、海外招待客と1回につき15分の商談をする。
快適なリゾート地は世界中に存在するが、そこから北海道を選択してもらい持続的に訪れてもらうには、顧客の要望を組み上げることが重要。いわば、この商談会がプロモーションイベントのキモともいえるだろう。

冬ならではの観光やローカルフードも体験

夕方、商談会を終えると、今度はバスに乗って市内の真駒内にある「アイススターホテル」の視察に向かう。ゴルフコースの敷地を利用し、冬季限定で氷と雪で作られた幻想的な建物が登場。クラブハウスで道内の食材を取り入れた食事が楽しめ、敷地内でスノーモービルの乗車や、バナナボートやスノーチューブで雪上を疾走するアクティビティも体験できる。
ドリンクやアルコールが楽しめるアイスバー。氷のグラスで提供されるため、キンキンに冷えた状態で味わえる。
氷の建物は3棟あり、氷のベッドを設えた部屋は宿泊が可能。防寒力の高いふかふかの寝具が敷かれている。
夜は札幌市内の街に繰り出しローカルフードを体験する。寿司屋や焼肉店、ジンギスカン、石狩鍋やろばた焼き、人気の居酒屋など、個性の異なる5店舗から1つを選んで訪れるスタイルとなっている。写真は掘りごたつの居酒屋に参加したチーム。この庶民的な和の雰囲気が招待客にとっては新鮮なのだ。
北海道の居酒屋はやはり魚介が新鮮でおいしい。この店はすすきのエリアでも大人気の居酒屋なのだとか。

市内から近いゲレンデで滑りにも挑戦

札幌市周辺のスノーリゾートを訪れる視察も盛り込まれている。参加者は、札幌国際、サッポロテイネ、さっぽろばんけいのどこか1カ所でスキーかスノーボードを体験するか、滑らずにすべてを視察して回る、4コースに分かれて行動。すべてのスノーリゾートが市内から近く、街を拠点に気軽にいろんな場所に滑りに行ける、恵まれたロケーションであることが実感できるはずだ。
ゲレンデでは英語が話せるインストラクターが招待客を案内。レベル分けしてコースをめぐり、まったく滑りがはじめての方にはスキーの基本からレクチャーしてくれる。近年は、北海道を訪れる外国人観光客の9割がアジア諸国の方々。特に中国から訪れる人が増えている。その変化に迅速に対応するため、日本に滞在する中国人にスキーの技術を伝えてインストラクターとして育てる取り組みがなされているという。
サッポロテイネでは、川端絵美氏のデモ滑走が披露された。「北海道のような質のよい雪で滑ると、20%くらいは上達が早いと思いますよ」と川端さん。日本の北に位置する北海道は、気温が低く、12月から4月までパウダースノーが味わえるうえ、雪が軽くてやわらかいから滑りやすいのだ。
1972年に開催された札幌オリンピックでは、サッポロテイネがアルペン競技やボブスレー、リュージュなどの会場に選ばれた。そのときの聖火台が今も残っている。スキー体験の後、市街に戻る途中で、オリンピックのスキージャンプで使われた「大倉山ジャンプ競技場」にも立ち寄り、しばしの観光も楽しんだ。

国指定 重要文化財「豊平館」でフィナーレ

イベントの締めくくりとなるフェアウェルパーティの会場は、札幌市内にある「豊平館」。1881年にできた洋館で、国の重要文化財に指定されている由緒ある建物だ。会場はスノーリゾートの紹介フィルムが流れ、招待客はグラスを片手に歓談しながら賑やかな立食パーティを楽しんだ。
海外から北海道を訪れる観光客の人数は、平成27年度は208万人。前年度の154万人よりもさらに増え、北海道の知名度はどんどん世界に広がっている。海外で特に有名な道内のスノーリゾートはニセコだろう。冬季は倶知安エリアにオーストラリア人が多く訪れ、ニセコを拠点に道内各地のリゾートをめぐる。
しかし、北海道にはたくさんのスノーリゾートと街があるのだから、例えば、札幌や小樽、旭川などを拠点にし、もっといろんな土地を訪れることができるはずだ。今回のような、札幌という大都市からさまざまなスキーリゾートにアプローチする体験をきっかけに、道内全域の街やたくさんのスノーリゾートにも着目してほしい。

イベント概要

HOKKAIDO SNOW TRAVEL EXPOとは?
スキーをはじめとするウインタースポーツやスノーアクティビティを通じて、外国人観光客の誘致推進、地域の国際観光の振興を目的とする、北海道スキープロモーション協議会の招致イベント。

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